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45-26  萃之大畜

本文

大樹百根、北與山連。文君作人、受福萬年。

注釈

震為木、乾大、故曰大樹。乾為百、艮山、伏坤為北、故曰北與山連。坤為文、乾君、故曰文君。震為人、為福、乾為萬年、言文王作人也。(沢地萃から山天大畜へ)

大畜の互体震は木(震は東で、東は五行の木)、乾は大きい(連想解釈)なので「大樹」。乾は百(出典不明)、艮は山、大畜の裏卦坤は北(先天八卦)なので「北は山と連なる」。坤は文(説卦伝)、乾は君(説卦伝)なので「文君」。震は人(出典不明)、福(迭象)、乾は萬年(出典不明)、「文王作人(文王は人才人徳を育てる明君)」という。

日本語訳

大樹の百の根は、北の方 山と連なる。文君は人を作りて、福を萬年に受ける。

解説

「文君作人」が色々と気になります。まずは「作人」で調べてみると、『詩経』大雅・棫樸(棫樸は灌木のこと)に

芃芃棫樸、薪之槱之。済済辟王、左右趣之。……
倬彼雲漢、為章于天。周王寿考、遐不作人。

芃芃(もさもさとした)棫樸(灌木)を、薪(きっては)槱(燃やす)。
済済(とりよろう)辟王(周王)、左右の者もみな趣(随う)。……
倬(明々しき)あの雲漢、天に章(あやなす)。
周王は寿考(長しえにして)、人才を作れり。

のようにあります。始めは周王の燎祭、さらにはその堂廟に会する人々の多いことを詠んだ作品で、「作人」は人才・人徳を育てることです。(人を作る意味では、女媧が人間を泥を捏ねて作ったことは『太平御覧』皇王部三に『風俗通義』を引いていますが、たぶんこれは違いそうです)

文君は周の文王という解釈もありますが、「文徳の君」という意味だとすると「人文始祖(人間の文化の祖)」としての君かもです。そうなると、有巣氏(家)・燧人氏(燧は火打ち石)・伏羲氏(八卦・網など)・神農氏(農業)などの世のことになるのですが、これは前二句「大樹の百根は、北にある山と連なる」の伝説時代的荒唐無稽さ(その木は高百尺にして枝なく、その幹は鬱結として輪菌して、その根は扶疏として絡み合えりのような)と似合います。

だとすると、周の文王の済済とした祭儀よりも、有巣氏(ちなみに巣は、木の上で暮らすこと)の世界で、この神人感応の永遠さが「受福萬年」です。

萃は、人々の萃(聚って)王は廟有るに至り、「観其所聚、而天地萬物之情可見矣(人々の聚ってくるものを観て、天地萬物が何を好むかを知る)」ように、王は人々を聚めること、大畜は「剛健篤実(乾は剛健、艮は静かに止まっていて篤実)」なので「よく止まっていて健やかなのは大いに正しく」良いものをたくさん留めておく様子だとすると、人々が大いに聚まって王の徳に化されて人才人徳を育てていくこと(木の根の間に生活している人が思い浮かぶ)だと思います。

なので、一言でいうと有巣氏の世のように人々が慕い聚まる様子です。

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ぬぃ
占い・文学・ファッション・美術館などが好きです。 中国文学を大学院で学んだり、独特なスタイルのコーデを楽しんだり、詩を味わったり、文章書いたり……みたいな感じです。 ちなみに、太陽牡牛座、月山羊座、Asc天秤座(金星牡牛座)です。 西洋占星術のブログも書いています