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53-4  漸之蒙

本文

衆鳥所翔、中有大怪。九身無頭、魂驚魄去。不可以居。

注釈

詳否之同人。丁云「郭璞「江賦」“奇鶬九頭。”『御覽』「『典略』云“斉園有九頭鳥、赤色似鴨、九頭皆鳴。”又引『嶺表録異』云“鬼車入人家、煉人魂気。”」又『酉陽雑俎』亦云“鬼車十首、後為犬嚼落一首。”(風山漸から山水蒙へ)

否から同人になるときに詳しく書いてある。丁(清・丁晏『易林釈文』?)の説を引用すると

郭璞「江賦」に「奇鶬は九頭」とある。『太平御覽』巻927では「『典略』に「斉の庭園には九つ頭の鳥がいて、赤色で鴨に似て、九つの頭は皆鳴く」とある。また唐・劉恂『嶺表録異』には「鬼車という鳥は人の家に入り、人の魂気を爍(焼く)」とある」という。また『酉陽雑俎』には「鬼車という鳥は十の首があったが、後に犬に嚼まれて一首が落ちた。」という

日本語訳

多くの鳥が翔んでいく中、大きく怪しいのがいる。九身にして頭無く、魂は驚き魄は去って、居ることもできないほど。

解説

まず、注釈でさまざまなものを引用して説明しているのは「鬼車」という鳥です。いろいろ細かく書こうとすればあるけど、元は「九身無頭」なので、どちらかというと否之同人坤之復に同じ表現があることに関わると思います。

もっとも、その二つは鬼で、こちらは鳥です(否から同人では鬼の説明のみ)。むしろ、なぜ鳥なのかの方が気になります、というわけで独自解釈で読みます。

まず、漸はゆっくり進むこと、蒙はよく分からないことに出会うです。漸の爻辞には「鴻漸于…(鴻:大鳥はゆっくりと…に進む)」という表現が六種類でてくるので、大きい水鳥の群れはそれによる連想だと思うのですが、それがゆっくりと動いている中に一匹だけ大きい不気味なのがいます。

たぶん、ゆっくりと飛び立つ水鳥の群れをみるときは、こちらもゆっくりと水辺を歩いていて、見慣れたはずの鳥の群れをゆっくりと見ていると、その中には不気味なほど大きく形も異様な何かがいた(ゆっくりとしてみると、意外と知らない何かがいるかも)みたいな感じだと思います。

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ぬぃ
占い・文学・ファッション・美術館などが好きです。 中国文学を大学院で学んだり、独特なスタイルのコーデを楽しんだり、詩を味わったり、文章書いたり……みたいな感じです。 ちなみに、太陽牡牛座、月山羊座、Asc天秤座(金星牡牛座)です。 西洋占星術のブログも書いています