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45-7  萃之師

本文

家在海隅、橈短深流。伯氏難行、無木以趨。

注釈

詳蠱之蒙。(沢地萃から水地師へ)

蠱が蒙になるときと同じ詩なので、それを載せます(微妙に違うところはあるけど)。

艮家坤海。坎水坤水、故曰深流。震為王、艮為孫、坤寡、故曰王孫單行。震為行。坤喪坎険、故曰無妄。妄、西漢人多作望。汲古下多“固陰冱寒”四句、與上義不属、顕為別一林詞、故従宋元本。(山風蠱から山水蒙へ)

艮(萃の互体)は家(山に囲まれるからの派生?)、坤(蒙の互体でもある)は海(迭象)。坎と坤は水(坤は水というのは迭象)なので、深い流れという。

震(蠱の互体)は王(迭象の君から)、艮は孫(少男から?)、坤は寡(少ない)なので「王孫は一人で行く」という。震(萃の互体)は行く(動くからの連想)。坤は喪う・坎は険しいなので「無妄(何があるかわからない)」。妄は、前漢の人は多く「望」と書いている。

日本語訳

家は海のそばにあり、橈(かい)は深い流れに短すぎるので、長子は出ていきづらく、木舟に乗って趨くこともない。

解説

まず、注釈では蠱之蒙のときに同じとありますが、蠱之蒙では「家在海隅、繞旋深流。王孫單行、無妄以趨。」とかなり違います。そのため、王孫・単行の単・無妄などは関係ないことになるのですが。

というわけで、むしろ今回はあえて違う字を用いたところを読んでいきます。最初に伯氏なのですが、伯・叔・仲・季はそれぞれ長子・次子・第三子・第四子という意味なので、伯氏は長子です。そして、王孫は一人で行くけど、長子は行きづらい何かがあるようです。

無妄(思いがけない・何があるかわからない)は無木(木がない)になっているので、木は海のそばだと舟でしょうか。蠱之蒙では「深い流れを繞旋(めぐ)る」だったのが「橈は深い流れに短すぎる」なのも、海がすぐに深くて危ないような雰囲気です。

この違いを含めて読んでみると、まず萃(聚まる)は水溜まりが地の上にたくさんある様子なので、人々を聚めること、師は地中に水があるように民を容れ養うことは、軍を師(ひき)いるように人をまとめることなので、どちらも多くのものを守り養う様子です。

きっと海の近くにあって、一家で漁をしたり物を売ったりする家では、長子は家の人をまとめさせる為に危ない場には出さない、あるいは全てを一人でするものではない、などの解釈がありそうです。(占いと文学って、なんとなく重なりそうで重ならない二つだけど、『易林』はその二つをきれいに重ねていて、しかも名品ばかりなのが魅力的です)

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ぬぃ
占い・文学・ファッション・美術館などが好きです。 中国文学を大学院で学んだり、独特なスタイルのコーデを楽しんだり、詩を味わったり、文章書いたり……みたいな感じです。 ちなみに、太陽牡牛座、月山羊座、Asc天秤座(金星牡牛座)です。 西洋占星術のブログも書いています