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9-35  小畜之晋

本文

牛驥同槽、郭氏以亡。國破空虛、君奔走逃。

注釈

艮為槽。坤牛坎馬、皆與艮連體、故曰同槽。『説文』「槽、馬食器也。」艮為郭、坤亡、故曰郭氏以亡。郭、国名、為斉所滅。坤為国、為空虚、坎破、故曰国破。乾為君、乾伏、故曰君逃。(風天小畜から火地晋へ)

艮(晋の互体)は槽(馬の食器。門闕から派生?)。坤は牛・坎(晋の互体)は馬(説卦伝)で、どちらも艮(槽)と繋がっているので「同じ槽を使う」という。『説文解字』に「槽は、畜獣の食器」とある。

艮は郭(曲輪。門闕から派生?)、坤は亡ぶ(連想解釈)なので「郭氏は亡んだ」という。郭は春秋期の国名で、斉に滅されている(出典不明かも)。坤は国(迭象の郊から連想?)、空虚(連想解釈)、坎は破れる(連想解釈)なので「国が破れる」という。乾は君(説卦伝)で、乾は裏卦なので「君は逃げる」。

日本語訳

牛と名馬は槽(餌桶)を同じくして、郭氏は亡び、国は破れて空虛(むなしく)、君は奔り走逃(にげる)。

解説

この注釈はちょっと遠いかなと思います……。たぶん郭は街の名前なので、曲輪(郭)とは繋がらず、牛と名馬の餌が同じだったのが何故滅びることなのかも分からないので、おそらく出典だと思われるものを上げておきます。

昔者、斉桓公出遊於野、見亡国故城郭氏之墟。問於野人曰「是為何墟?」
野人曰「是為郭氏之墟。」桓公曰「郭氏者曷為墟?」
野人曰「郭氏者善善而悪悪。」桓公曰「善善而悪悪、人之善行也。其所以為墟者、何也?」
野人曰「善善而不能行、悪悪而不能去、是以為墟也。」
桓公帰、以語管仲、管仲曰「其人為誰?」桓公曰「不知也。」管仲曰「君亦一郭氏也。」於是桓公招野人而賞焉。(劉向『新序』雑事四より)

昔、斉の桓公は野に遊びに行って、滅んだ国の古い街で「郭氏の墟」というのを見つけた。近くの野にいた人に「これは何の墟(街の跡)なのか?」と聞く。
野の人は「これは郭氏の墟です。」と云い、桓公は「郭氏はどうして墟だけになっているのか?」と問う。
野の人は「郭氏は善いことを善いと云って、悪いことを悪いと云っていたからです。」と云い、桓公は「善いことを善い、悪いことを悪いというのは、人として善いことなのに滅んで墟になっているのは何故か?」と聞く。
野の人は「善いことを善いと云っても行わず、悪いことを悪いと云っても去(除)かなかったので、墟になったのです。」と答える。
桓公は帰ってきて管仲にそのことを話すと、管仲は「その野の人は誰だったのですか?」と聞き、桓公は「知らない」というと、管仲に「君もまた郭氏ですね。」と云われて、桓公はその野の人を招いて賞(もてなした)。

この話をみると、郭の跡地は斉に含まれているので、斉に滅ぼされたことになっているのかもです。驥は名馬で、牛と同じ餌で飼われているとすると扱いが悪いことですね。なので、善いものも悪いものも同じように扱ってしまう郭氏の比喩だと思います。

小畜は少しだけ人を蓄えられない小さい街(郭)で、人才は別の街に流れていってしまうのに、残った者の質を問わずに重んじて(晋)滅んでいる、ですかね。占って出たときは、目の前のものに飛びつかず、少し様子をみてからにせよ、みたいな感じです。

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ぬぃ
占い・文学・ファッション・美術館などが好きです。 中国文学を大学院で学んだり、独特なスタイルのコーデを楽しんだり、詩を味わったり、文章書いたり……みたいな感じです。 ちなみに、太陽牡牛座、月山羊座、Asc天秤座(金星牡牛座)です。 西洋占星術のブログも書いています