本文
危坐至暮、請求不得。膏澤不降、政戻民忒。
注釈
艮為坐、坤暮。艮為請求、坤虚、故不得。上伏兌為膏澤、艮止故不降。坤為政、為民、坤凶、故曰戻、曰忒。(水天需から山雷頤へ)
艮は坐る(止まるから派生?)、坤(頤の互体)は暮れる(陰から連想)。艮は請求(迭象の臣から連想?)、坤は虚(陰から連想?)なので、得られない。(頤の上卦の裏卦の)兌は膏澤(膏澤:恵み、肥えた土)、艮は止めるなので、降ってこない。坤は政・民(天に比べて下のこと?)、坤は凶(陰の連想?)なので、戻(冷厳で恐しい)・忒(誤る)。
日本語訳
身を正して坐って暮(夕方)になっても、請求(もとめたもの)は得られない。膏澤(恵み)は降りて来ず、政は戻(冷厳で恐しく)民は忒(身を誤る)。
解説
大きな館の一室で、小さい窓から日が傾いていくのが少し見える。その部屋はがらんとしていて、木の色も暗く、窓も小さいので夕方になるとひんやりと暗くなる。そんな中で一日中、じっと待っていたけれど、ようやく戸があいて話を伝えにきた者が不可というような様子です。
危坐は身を正して座ること、需は雲(坎)が天の上にあって雨を待つ、頤は下で騒ぐ雷にむかって上にある山が落ち着くように示している様子です。おそらく、雨乞いをしている人々に向かって、ようやく出来てきた雷雲に天は静まるように云ってしまう様子で、日は暮れて途は遠いのに訴えも聞き入れられずに、館の一室に入れられたままの人のようになるという意味です。ちなみに、最後の「民忒」はそのような冷たさに民は一揆を起こしてしまうの意だと思う。