本文
一身兩頭、近適二家、亂不可治。
注釈
坤為身、乾数一、故曰一身。乾為頭、坤数二、故曰兩頭。伏艮為家、坤為亂。(雷風恒から地天泰へ)
坤は身体(陰の魄)、乾の数は一(乾兌離……)なので「一身」という。乾は頭(説卦伝)、坤の数は二(九宮図)なので「二つの頭」。(恒の裏卦の互体の)艮は家、坤は乱れる(陰の極み?)。
日本語訳
一身にして二つの頭で、二つの家に近づいて適けば、乱れて治められず。
解説・占例
恒と泰という、どちらもそれなりにいい卦になっているのに、雰囲気的にあまりいい感じがしない詩です。これはたぶん実占の例を使ったほうが分かりやすいので、それで解説します。
まず、「今日これから岩盤浴付きの温泉に行くべきでしょうか」という質問で占いました。状況としては、バイトが終わって家に着いたときに、たまたまネットでサウナのことを書いている人がいて、その記事を読んで急に近くの温泉に行きたくなったのですが、やや普段と異なる動きを色々することになるのが面倒な気もするし……という感じです。
この詩が出たときは、しばらく考えてみてあまり解釈が思いつかなくて、とりあえず行きたいから準備しようと思って家に入ったのですが、いざ行こうとしてみると
・家で私服に着替えると、お風呂に入る前の身体で着た服を、お風呂から帰るときにも着ることになるのが気分的に嫌だ
・家で軽くお風呂に入ってから行くと、たぶん冬なのでシャワーだけでは済まなくて、湯舟に浸かるとかなり時間がかかる
・その日は土日なので、たぶん混んでいる
などの理由があって、いろいろな面で面倒になって行かなかったです。たぶん、恒のように雷が上にあって、下の風がそれに合わせているような安定しているときに、急に思いつきで泰みたいな気分の湧き上がりが起ると、一つの身体に二つの頭があるようで、それぞれ違う家に行こうとするけど、乱れて止まらないみたいな意味だと思います(占例が些末だけど、比喩が詭譎で好き)。