本文(兌之姤)
徙巣去家、南遇白烏。東西受福、與喜相得。
注釈
此仍用兌象。伏艮為巣、為家。伏震為南、艮為烏、互巽、故曰白烏。震為東、為喜福、兌為西。(兌為沢から天風姤へ)
これは兌の象を用いている。裏卦の艮は巣・家(囲むものから派生)。姤の裏卦の震は南(迭象)、兌の裏卦or姤の互体の艮は烏(迭象)、兌の互体は巽なので、白烏(巽は納甲で辛、辛は金なので白?)。震は東(後天八卦)・喜福(迭象の嘉)、兌は西(後天八卦)。
日本語訳
巣を徙(うつ)しては家を去り、南で白い烏に遇う。東西は福を受けて、喜びも共に得る。
解説
「白い烏」は瑞祥とされる鳥(白い雉・白い蛇みたいな感じです)で、兌為沢は喜びが集まっている様子だとすると、「巣を移す」は家を去って分家する様子を鳥の縁語であらわして、喜びをまわりにも分けている様子だと思います。
兌は水辺の連なる中に游ぶ様子、姤は天の下に風があるように、四方に詔書を持って誥(つげる)様子だとされるので、既に悦びに溢れているところから、さらに分家して瑞祥の白烏に逢うように行く先々で喜びがあって、周りの人もさらに喜びを得る、という詩に感じます。これが少し変って否之益になるとこんな感じです。
本文(否之益)
徙巣去家、南過白馬。東西受福、與母相得。
注釈
艮為巣、為家。震為徙、為去、為南。巽為白、坤為馬、故曰白馬。白馬、津名、在大伾山南。震為東、伏兌為西。震為福、坤為母。(天地否から風雷益へ)
否or益の互体の艮は巣・家(囲むものから派生)。震は徙る・去る(動くから派生)、南(迭象)。巽は白(巽は納甲で辛、辛は金なので白?)、坤は馬(説卦伝の乗り物から派生?)なので白馬という。白馬は渡し場の名で、大伾山(伾:ひ)の南にある。震は東(後天八卦)、否or益の裏卦の互体の兌は西(後天八卦)。震は福(迭象の嘉?)、坤は母(説卦伝)。
日本語訳
巣を徙して家を去り、南は白馬を過ぎる。東西は福を受けて、母まで其の福を得る。
解説
巣を移して家を去るのは分家のことで、南にいって白馬の渡しを過ぎるのは、生まれたところから離れる様子(白馬津は黄河を渡るところなので、かなり隔たる感じになる)だと思います。
否は、否塞した家を離れるだとすると、黄河の渡しを隔てるほど遠くまで離れたところにきて、そこで益(下のものに恵む)をしていれば、いつしか遠くの家の母にもその恩恵は広がっていく様子に感じる(さきの兌之姤は喜びを分けるような雰囲気、この否之益は逃げた先で喜びを拡げてていく雰囲気です)。